野良猫モモとタロウがほぼ10週齢に達したと思われるので、ネコ用のワクチン接種を受ける運びとなりました。
タロウは嫌がるそぶりも無く、血液の採取とワクチン注射中、なんと喉をゴロゴロと鳴らしておりました。マイペースで恐れを知らないネコです。
モモはというと、病院に着くや否や普段とは違い、おとなしくなるという猫被り状態。注射時には目をまん丸くし、もがくもがく。先生、助手さん2人、私と4人がかりで予防接種。実に対照的な2匹です。
そんなワクチン接種ですが、恐ろしい伝染病からネコの健やかな生活を守るためには必ず必要なものです。ここでは、ワクチン接種の役割と効果をまとめましたので、まだ接種させた事のない方は、是非検討してみてください。
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ワクチンとは
ワクチンとは、毒性を弱体化させた病原体を体内に入れ、その病原体に対して免疫抗体を体内で生成し、病気を未然に防ぐものです。
子猫の場合、最初は母猫からの初乳の摂取を通じて抗体をもらっています。移行抗体と呼ばれるものです。しかし、この抗体は生後2~3ヶ月(8~10週齢)を過ぎる頃には効力を失ってしまいます。
そこで、抗体が無くなる生後2~3ヶ月頃に最初のワクチンを接種させ、病気から猫を守ります。
ワクチンの必要性
猫の感染症は非常に死亡率が高く危険なものです。感染症から猫を守る最善策の一つは感染猫との接触を防げる室内飼いがあります。ただ、何かの拍子で猫が外に出てしまい、ウイルスに感染する恐れもゼロではありません。憂いを絶つため、定期的なワクチン接種は必要と考えます。
予防できる伝染病
ワクチンで予防できる主だった伝染病は以下のものがあります。
猫ウイルス性鼻気管炎
猫ヘルペスウイルスにより発症する呼吸器系の病気です。別名猫インフルエンザとも呼ばれます。40度前後の発熱と、激しいくしゃみ・せきを引き起こし、目やに・鼻水が沢山出ます。感染力が強く、くしゃみ等の分泌物により簡単に感染してしまいます。
他のウイルスや細菌との混合感染を引き起こすこともあり、重篤な症状となり死亡する場合があります。
特に幼猫・子猫の時期に感染し易く、死亡率は非常に高くなっています。
猫カリシウイルス感染症
猫ウイルス性鼻気管炎と似た症状を示します。カリシウイルスは非常に変化しやすいウイルスなので、症状は様々です。症状が進行すると、口や舌に水泡や潰瘍を作ったり、肺炎を起こすことがあります。肺炎の場合、死亡率は高いそうです。
カリシウイルスは猫ヘルペスウイルスよりも強いため、一度感染すると持続的にウイルスを排泄し続けます。このことから、他の猫への感染源となるおそれがあります。
こちらも混合感染する場合が多く、重い症状を引き起こします。
猫クラミジア感染症
猫ヘルペスウイルス、猫カリシウイルスと複合感染し易い感染症です。ネコ風邪の一種です。感染猫と密に接触することで感染します。症状は目やに、結膜炎、鼻水などがあります。複合感染した場合には重篤となり、脱水症状により死亡する恐れもあります。
猫汎白血球減少症
パルボウイルスにより発症します。猫伝染性腸炎高熱、嘔吐、下痢等の症状を引き起こし、血液中の白血球が著しく減少します。
嘔吐、下痢の症状により脱水状態が続くことにより衰弱し、子猫は非常に高い死亡率を示します。
根本的な治療法は無く、一生ウイルスを持ち続けます。予防接種が猫を守るベストな手段の一つです。
猫白血病ウイルス感染症
猫白血病ウイルス(FeLV)の感染により発症します。一般的に若い猫に発症し易く、猫の主な死亡原因の1つとされる伝染病です。
感染すると免疫力が低下し、あらゆる病気から身体が守れなくなります。口内炎、鼻炎、胃腸炎などの症状が治り辛くなります。症状が悪化すると、白血病・リンパ肉腫等のの腫瘍性疾患、貧血、免疫不全によるその他の感染症を引き起こし、死亡する危険性が非常に高い伝染病です。
こちらも根本的な治療法はありません。よって、ワクチン接種は猫を守る最善の方法の一つです。
ワクチンの種類
ワクチンは複数あり、防げる感染症の数に応じて3~7種混合ワクチンと呼ばれます。重要な感染症である、猫ウイルス性鼻気管炎・猫カリシウイルス感染症・猫汎白血球減少症は3種混合ワクチンによって予防できますので、最低でもこれだけは接種しましょう。
うちの場合、猫ウイルス性鼻気管炎・猫カリシウイルス感染症(3株分)・猫汎白血球減少症・猫白血病ウイルス感染症の対策として、6種混合ワクチンを接種させました。
ワクチン接種は何回必要か
子猫の場合、2~3月齢に最初の接種を受け、3週間ほど間を空けて2度目のワクチンを注射します。その後は、年1回のワクチン注射で免疫を維持することが出来ます。
ワクチンの副作用
稀にワクチン接種による副反応がみられます。その場合、注射後24時間以内に起こるようです。
普段より少し元気が無い、食欲が少し落ちているといった軽い症状の場合、半日ほど安静にしていれば大丈夫なようです。
問題は、ぐったりしている、繰り返し嘔吐する、ご飯を全く食べない、とても痒そうにしている、顔がはれるといった症状が出た場合です。すぐに病院へ連絡しましょう。
その他の注意点
ワクチン接種後1週間程度はシャンプーや沐浴は控えましょう。
まとめ
猫を感染症から守る最善の手立てがワクチン接種です。猫に穏やかな日々を送ってもらうために欠かせないと考えます。
費用はそこそこ掛かりますが、感染後の治療費を考えると非常に安いものです。健康な猫であればいつでも接種できるので、オススメします。